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「ミクスチャー・ロックの最前線」リポート

エンター・シカリ

ロンドン郊外出身のエンター・シカリが生み出す、血沸き肉踊るグルーヴ

ロックとダンス・ミュージックの「交配」が止まらない。もっと言えば、ロックによるダンス・ミュージックへの領土侵攻は、日々加速している。90年代、たとえば「デジ・ロック」なんてタームとともにケミカル・ブラザーズやプロディジーが脚光を浴びたクロスオーヴァーは、あくまでダンス・ミュージック側によるロックへの食い込みだった。しかし現在、メインストリーム/アンダーグラウンドで進行しているそれは、当時とまったくの逆転現象といえる。80Sリヴァイヴァルしかり、ディスコ・パンクしかり、そしてニュー・レイヴしかり……つまり、それらはすべて2000年代のトレンド=「ロックで踊れ!」のヴァリエーションにほかならない。

で、その真打ちとも究極形とも目されるのが、ロンドン郊外セント・オールバンス出身の4人組、エンター・シカリ。Myspace&ライヴの口コミから火がつき本国ツアーは全日程ソールドアウトの大盛況、各誌メディアが「2007年最も注目すべきアーティスト」に選出する中、先のショウケース・ライヴに続き早くも今夏のサマーソニック08への出演を決めた、話題沸騰のニュー・アクトである。

“マッドチェスターの再来!?”、“21世紀のプロディジーか!?”とも評されるエンター・シカリだが、そのサウンドは極めて単純明快。一言でいえば「レイヴ+トランスmeetsメタル+ハードコア」。つまりダンス・ミュージックのプリミティヴな高揚感と、ロックのハイヴォルテージな攻撃性を強引に混ぜ合わせた、まるで劇薬のような音のカタマリである。リフとビートが渾然一体となり攻め立てる縦ノリの快感。そしてフロアのピークポイントを繋ぎマッシュアップしたようなノイジー&クレイジーなグルーヴ――。反則スレスレ、まさに“血沸き、肉躍る”ためには手段を選ばない強引さが、彼らの最大の魅力だ。ついにリリースされる彼らのデビュー・アルバム『テイク・トゥ・ザ・スカイズ』は、その決定打。

先日の来日公演を目撃した方であれば承知の通り、彼らのスタイルは2000年代以降のクロスオーヴァーの在り方とはかなり趣が異なる。ディスコ・パンクやニュー・レイヴのようなファッション化されたスマートさは、彼らのサウンドには皆無に等しい。その、いい意味でB級的なポップ・センスやストレートな興奮は、むしろ90年代のヘヴィ・ロックやミクスチャーのノリに近いかもしれない。「ロックで踊れ!」ではなく「ロックで暴れろ!!」――。そんなところが、批評家や熱心な音楽リスナーのみならずキッズも巻き込む“エンター・シカリ現象”の所以なのかもしれない。

ダフト・パンクやアンダーワールド以降、アイコン的なスターを輩出できないダンス・シーンを尻目に、ロックはその覇権を奪うべく虎視眈々と狙っている。ジンバブエ人女性をVoにファンキィなロックンロールを鳴らすノイゼッツ、80年代のZEを彷彿させるフレンチ・ディスコ・パンクの末裔プロトタイプスなど、次の「顔役」を担うニュー・アクトの勢いは止まる気配もない。「ロックmeetsダンス」から「ロックeatsダンス」へ――今、ここで起きているシーンの転換点を見逃すな。

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2007.03.20

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Junnosuke Amai

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■NEWS詳細情報


エンター・シカリ/『テイク・トゥ・ザ・スカイズ』(発売中)

http://entershikari.jp/