Movie

Movie Report#34『痛いほどきみが好きなのに』

Movie Report#34『痛いほどきみが好きなのに』

意外と深いストーリー。これは単なる恋愛映画じゃないよ

今週、紹介する映画は『痛いほどきみが好きなのに』イーサン・ホークが自叙伝を映画化した作品なんだ。ニューヨークに住む20歳の若手俳優ウィリアムがサラという女の子に恋をする。ウィリアムはサラに信じられないくらいの恋心を抱く。一度は結ばれる2人だけど、サラは歌手として自立したいがためにウィリアムと距離を置こうとするんだけど、距離を置かれれば置かれるほどウィリアムの恋心は燃え上がってしまうんだよね。そこからウィリアムの激しい片思いと空回りの日々が始まるというストーリー。

「どうしてボクがきみをこんなに好きなのにきみはわかってくれないの?」っていう、「男の幼児性&恋愛の喪失感による焦燥」が爆発。「女性の大人びた考え方」との対立構造が浮かび上がった果てに、ウィリアム君、ぐだぐだになるんだよね(笑)。男性客はウィリアム君に対して「困った奴だなあ」と思いながらもシンパシーを抱き、女性客は「男ってしょーがないわねえ」と思いながら、映画を見るんだろうね。

ただね、それはあくまで物語の柱であって、この映画の主題じゃないんだよね。この映画の原題は『THE HOTTEST STATE』。ホッテスト・ステートとはテキサス州のことで、ウィリアムの故郷なんだよね。両親が離婚して、父親が「13歳になったら迎えに行くよ」って言うんだけど、その約束が果たされないまま彼は大人になるんだよね。その果たされぬ約束は延々と彼を苦しめ、心の呪縛として彼の精神に巣くってるんだよ。単身ニューヨークへ乗り込んで役者としても成功をつかみかけて、一見自立しているようだけど、実はその心はテキサスにつながれたままなんだよね。

この映画の本当のテーマは、彼がテキサスの呪縛から逃れられるのかどうか、にあるんだよね。別にウィリアムの若気の至りを描いただけの物語じゃないんだよね。サラとの恋愛のくだりはあくまで「象徴」だと考えた方がいいかもね。平たく言うと、「サラの考え方を受け入れるか否か」と「父親を受け入れるか否か」はイコールで結ばれてるんだよ。なかなか深いストーリーだったね。

ウィリアムの恋愛の喪失感を味わいたい人は邦題を、少年の自立に感動したい人は原題を意識しながら見るといいよ。

『痛いほどきみが好きなのに』
5月17日、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
http://www.itakimi.jp/
配給:ショウゲート

©2006 By Barracuda Films,LLC. All Rights Reserved.

updated

2008.05.15

updated

SKUNK(スカンク)

updated

SKUNK(スカンク) Profile

SKUNK(スカンク)



STUDIO M.O.G.のキャラクターで、年齢不詳の映画ウォッチャー。 現在、『VOICE WAVE』連載中!座右の銘は「映画は知識じゃなくて感性で楽しめ!」。今回 はヒューゴを出し抜いて初のソロ活動。